メディヘン5

時々書く読書感想blog

Kindle PaperWhiteを買った、KDP本も買った

Kindleの最初のバージョンが出た頃から、「e-ink/電子インク端末は本を読むのにピッタリ」という話があって、ずっと興味を持っていた。昨年、KoboやらKinldeシリーズやらが国内販売になって物欲に火がついてムズムズしっぱなしだったのだけれど、ついに、Kindle PaperWhiteを買ってしまいました。


Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

なぜにKindle

「買ってしまった」というのは、国内メーカーや国内のネット書店を応援しないといかんかな、という気分があったから。

昨年から端末のスペックを比べてみたり、ネット書店サイトにアクセスして本の品ぞろえを眺めてみたりして、あれこれ考えている間は、SONYのReaderがいいかな、なんて思っていたわけです。国産だし、SONYにも頑張って欲しいし。

なのに、結局、Kindleを買ってしまったのは、これはもう、KDPのせい。

KDPで個人出版が可能となってすぐ自作を発表する人たちが出て、さらにそれを紹介する「きんどるどうでしょう」とか「キンドる速報」みたいなサイトが生まれて来ている。

この動きがこのまま大きくなっていくのか、すぐ出てくるコンテンツはあっと言う間に種切れになって萎んでしまうのかはわからないけど、ネットで見ていると、只今現在は、このKDP周りでなんだか新しいことが起きてきて、すごくおもしろそうに見える。

だもんで、KDPのコンテンツを読んでみたい、ということから、端末もKindleを買ってしまいました。

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小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』 感想: 関西弁・家族・本

どういう話なのか粗筋を知る前にkakidashi.comで、

あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。

という書き出しを見て気になっていた。よく意味がわからないのに断定されると、「そうだったのか」と思わされてしまうような……

本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があります


ダメを押したのは業務日誌さんのこの記事の中の、”和風マジックリアリズムの理想形と言えるんじゃないかなぁ。”という一節。マジックリアリズム最高、というほど詳しくはないけれども、この言葉が似合うとされている本でつまらなかったものは無い。というわけで、この記事を読んで購入決定。年末のまとめ買いで買いました。

それで、今年最初に読む本として選んだんだけど……良かった!
なんともおめでたい雰囲気の表紙と合わせて、今年一年がいい年になるような気分で読み終えた!

読了後の感激のあまり、カミサンには「この本おもしろいよ。小川洋子を関西弁にしたような感じ」と勧め、ムスメには「この本おもしろいよ。村上春樹を関西弁にしたような感じ」と勧め、適当なことを言って家族に推薦しまくっている(ムスコの本の趣味はよく分からないので、単に「おもしろいから、これ読め」で終わり)。我ながらムチャクチャなたとえだけれど、読み出せばおもしろさはわかるだろうから、まあいいか。

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栗原景太郎『白鴎号航海記』 感想

1970年刊行の日本人初のヨットによる世界周航記。

昨年、ムスコと神田古本まつりに行った際に購入。@ワンダーの路地裏書棚から拾った。

値段を見ると210円なんだけど、ネットで値段を調べるとお買い得だったのかもしれない。

白鴎号航海記 (1970年)

白鴎号航海記 (1970年)

自分自身は外洋船に乗ったこともなく、船にも海にもトンと縁がないのに、航海記のたぐいが結構好きで、古本屋でも目に付くと買ってしまう。実際の海や航海というものを知らないことから来るエキゾチックな雰囲気と船というメカへのあこがれが原因かな。

そういうわけで、この本も「目に付いたから」なんとなく買ったので、読み始めるまで日本人初のヨットによる世界一周航海の記録とは知らなかった。

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藤井太洋『Gene Mapper』 これが出たから今年が電子書籍元年


この『Gene Mapper』が出たから今年が日本の電子書籍元年と言えるのだ、というのは書きすぎ?


Gene Mapper -core- (ジーン・マッパー コア)

Gene Mapper -core- (ジーン・マッパー コア)


Kindle, Kobo, Lideoといった電子書籍端末が登場し、特に、長らく日本市場への投入が待たれていた電子書籍の「国際標準」=アマゾンのKindleが出たことをもって、今年が日本の電子書籍元年だという書き方がある。

でも、電子書籍端末と対応ストアが出たから元年、と言うのはなんだか寂しい。だって、その言い方には、肝心かなめのコンテンツの部分の新しさが含まれていないから。

Kindle以外の電子書籍ストアはもちろん、Kindleストアを見ても、トップページに並ぶ書影のほとんどは既刊の本ばかり。はっきり言って、これまでのネット書店の画面と見分けがつかない。というか、電子化が進まないこともあって、悪いけれども仕入れに悩むしょぼいネット書店にしか見えない。


こんなことでは、せっかく新しい電子書籍の世界が本格的にスタートしたと言ってみても、その新しさに見合う華々しさ華やかさが無いじゃない。

電子書籍というのは、これまでの紙の本とはメディアとして異なる側面があるのだろうから、そこに載るコンテンツについても、新しい側面があって欲しい。

で、『Gene Mapper』。

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冲方丁『光圀伝』感想 冲方エンタメとの類似性

地元の本屋で購入。

読み始める前は通勤中に読むつもりだった。ところが、この本を読む前にハードカバーの『BEATLESS』を通勤中に読んでいてなかなか辛かった。さらにブ厚い本書を通勤電車の中で読むのは無理だ、ということになって寝る前にベッドの中で読むことにした。

光圀伝

光圀伝

しかし、寝る前に読む本としては、本書は問題あるかも。


若かりし光國を描いた序盤は、血気盛んながらアイデンティティの確立に悩む主人公の熱い青春の姿に当てられ、後半は、人生の完成に向かう光圀の緊張感に当てられ、いずれにせよ、読んだ後、ドキドキしてしまってなかなか眠れず、弱ってしまった。

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年末恒例のまとめ買い

年末恒例の本のまとめ買い。

WORLD WAR Zねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)本にだって雄と雌があります古本の雑誌 (別冊本の雑誌)蒲生邸事件 (文春文庫)WE3 ウィースリー (ShoPro Books)合気道小説 神技―Kami‐Waza中国と 茶碗と 日本と

購入先はhonto.jp。外資な上、消費税問題があるアマゾンで買うのも妙に気が引けるので。honto以外の「国産」書店で買ってもいいんだけど、ここで買うのは、bk1時代からのご縁から。でも、bk1からhontoに移行してから個性が薄くなって愛着はほとんど無くなってきている。もっと差異化とか個性の強化をして欲しいなぁ。

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チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』『都市と都市』感想

カミサンとジュンク堂本店のSFブックミュージアムに行った際、「そういえばこれはエラく評判が高かったようだぞ」と思って買ったのが『ペルディード・ストリート・ステーション』。この作品については、このblogの中断前の最後の記事、『SFが読みたい!』2010年版の紹介でも「読まなきゃ」という感じで触れているのだが、2010年後半から2011年前半の一年ほど単身赴任で外国に行っていたり、その後しばらくまともな小説を読まない時期があったりで、すっかり忘れていた。

ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)ペルディード・ストリート・ステーション (下) (ハヤカワ文庫 SF ミ)

『ペルディード・ストリート・ステーション』を積んでいる間に、本屋で平積みになっているこれも未読な『都市と都市』を見て確かめたところ、こちらの方が先に文庫が出ているようだったので、よぅしこの際出た順*1に読むか!ということで、『都市と都市』も買ってこちらから読み始めた。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

で、『都市と都市』を読んで、その後続けて『ペルディード・ストリート・ステーション』を読んだのだけど、この順番は失敗だったかも。

*1:言うまでも無く誤解。翻訳は原書の出版順通り『ペルディード』→『都市と都市』の順で出ている。

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