デイヴィッド・ウェーバー『反逆者の月2―帝国の遺産―』 戦艦はぁとてもでかい〜
仕事が行き詰まってイライラする→帰宅の途中で行きつけの本屋に寄る→そういう時は気晴らしにスペオペだぁ!というパターンで購入。出だしの「イライラする」というのは大変良くあることなので、“スペースオペラばかりの古本屋”なんていうものがあったらエラいことになりそうだが、当然そんな本屋は無いのでセーフ(何が?)なのだった。
- 作者: デイヴィッドウェーバー,中村仁美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: 文庫
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燃える艦隊決戦に萌える美人副長、という、まさに男のロマン。
それ以外に書くこともあるまい、という感じのストーリーではあるのだけれども、その男のロマン以外にも妙なところにこだわりを見せているのがこの作品のおもしろいところ。
一つは、「でかさ」「おおげささ」へのこだわり。
そもそも「実は、月というのは銀河帝国の宇宙戦艦だったのでした」というのが基本設定なので、戦艦がでかくて当然なのだが、今回はその月サイズの宇宙戦艦が艦隊を組んでご登場。されに、その(フネが巨大な)大艦隊が立ち向かうのが(数がべらぼうな)大艦隊。ということで、ひどくおおげさな艦隊決戦となる。しかも主人公も無茶苦茶おおげさな立場に立たされるし。
昔、アメリカ人に「なんでアメリカの食べ物はこんなに量が多いんだ」と聞いたら、「昔はアメリカにも食べ物を十分食べられない人々が大勢いた歴史があって、その文化的なトラウマを補うような意味があるのかもしれない」という自説を聞かされたことがあった。この作品の「でかさ」「おおげささ」へのこだわりも、何かが足りなかった作者の体験の裏返しなのかね。
で、肝心のでかくておおげさな艦隊決戦、スケールがスゴ過ぎて絵にしたらかえってわけがわからないかも。南極が吹き飛ばれそうになるまで戦う地球防衛戦のシーンの方が、艦隊決戦パートよりヴィジュアル的にはいい感じでありました。
あと、副主人公格に格上げされた月=宇宙戦艦ダハクの中枢人工知能へのこだわりも妙に強くなっていて、ちょっとストーリーを破壊気味なのでは?と思えるくらい。訳者あとがきを読むと作者は犬好きみたいだけど、「人では無いものが人に尽くす」というのが好きなのか。「ダハクというのは、地球で言えばエンタープライズにあたる大事な艦名」なんていう追加設定までつけちゃって……
しかしまあ、ツベコベ書いてはみたものの、そういう自分も最初はこの作品はスルーするつもりだったのに、こちらの記事(dawn:反逆者の月)にあった
今回は遂にコリン・マッキンタイア率いる帝国艦隊が何百万隻とも知れないアチュルタニ宇宙艦隊に「射撃開始!」するのでした。
というくだりを読んで、一発で買う気になったおバカなので、作者には何も言えないのだった。