メディヘン5

時々書く読書感想blog

2019年に読んだ本

2019年はここ数年の中ではかなり本を読んだ。

10年ほど「小説家になろう」にはまっていたのが、ようやく抜け出してきたみたい。

年末から年越しで『零號琴』を読んだのに始まり、『三体』『なめらかな世界と、その敵』『息吹』といったSF界隈(大森望界隈?)における話題作を一通り読むことができた。

『ブルーマーズ』や『図書室の魔法』のような気になっていた積読本を読むことができたのも良かった。

振り返ってみると、特に印象に残った本は、『七人のイヴ』。なんだかんだ言って、テクノロジー力技を全開で駆使した大胆な展開は、予定調和的であるからこそわかりやすくて記憶に残る。

2019年刊行本のベストは、やはり『息吹』かな。表題作のラストは1年の締めくくりにふさわしい厳かさがあった。

 

2019年の読書メーター
読んだ本の数:60
読んだページ数:21110
ナイス数:499

 


パラドックス・メン (竹書房文庫)パラドックス・メン (竹書房文庫)感想
ワイドスクリーン・バロック・スクリーンと言うには熱量やぶっ飛び度合いが足りなくない?と思って読んでいたが、ラストの大展開に至って腑に落ちた。(途中から展開がなんとなく想像がつくので超展開、とまではいかず)まあ源流であって精華ではないということか。ところで、訳者に一言言いたい。美貌の人妻の黒髪の形容に「ふさふさ」(p.20)は無いんじゃないでしょうか。
読了日:12月30日 著者:チャールズ・L. ハーネス


エレクトリック・ステイト  THE ELECTRIC STATEエレクトリック・ステイト THE ELECTRIC STATE感想
以前から作者の絵をネットで見かけていて、ぜひ読みたかった本。何枚かの絵を断片的に見るだけのネットの紹介記事に比べ、まとまった一冊の本として味合うのは(当然だが)遥かに満足感が高く、購入した甲斐があった。ストーリーやその翻訳に特に不満は感じなかったけど、いずれにせよ文章より絵から世界観を味合う本だよね、これは。
読了日:12月29日 著者:シモン・ストーレンハーグ


図書室の魔法 下 (創元SF文庫)図書室の魔法 下 (創元SF文庫)感想
表紙の明るいイラスト通りの結末を期待していいのかな?とドキドキしながら読み進んだ。居場所を見つけるのではなく、居場所を作り出す主人公の強さ。彼との関係を真剣に感じてすぐ主人公がとった行動に、女性の自立ということを感じた。相変わらずムアコックもバラードも出てこなかったが、他にも彼女の感想を聞きたい作家がたくさんある。O.S.カードとかどう思うのかな。短編版「エンダーのゲーム」が収録された『無伴奏ソナタ』は1980年・まさにこの物語の年発刊みたいだし。
読了日:12月28日 著者:ジョー・ウォルトン


図書室の魔法 上 (創元SF文庫)図書室の魔法 上 (創元SF文庫)感想
SF研の旧友に進められたのに積読になっていたもの。不幸な境遇の少女が読書を糧に進む姿が頼もしい。しかし、読書好きによる日記形式の記述には、どうしても「信頼できない語り手」という言葉が頭をよぎる。それと、ディレイニーエリスンゼラズニイへの言及が多いのに、ムアコックやバラードといった英国NWが登場せず気になる。気になったあまり、この世界はムアコックとその多くのヒーロー作品が存在せず、残った少数をバラードが書いたことになっている、という夢を見た。
読了日:12月27日 著者:ジョー・ウォルトン


痕跡本の世界: 古本に残された不思議な何か (ちくま文庫)痕跡本の世界: 古本に残された不思議な何か (ちくま文庫)感想
同じちくま文庫の『超芸術トマソン』のような、不思議さとユーモアや切なさを併せ持ったものを期待して読んだ。文字の世界はもっと深い(個人的な?)情念が込められているようで、怖さ・不気味さが強い。
読了日:12月23日 著者:古沢 和宏


息吹息吹感想
フゥ〜(*´꒳`*)。これは、本棚に残る一冊。何かに気づくことは、何かを喪うことか。単純なハッピーエンドとも悲劇とも言えない各編のラストに辿りつくたび、喪失感とともに満たされる感覚がある。読んでいる途中は、表題作含む始めの2編が別格だと思っていたが、読み終わるとどの作品もそれぞれ忘れ難い。買おうか迷っている人は、早く買った方がいいと思う。
読了日:12月21日 著者:テッド・チャン


ブルー・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)ブルー・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)感想
レッド/グリーン/ブルーを通しで一気に読んみると、とにかくさまざまな姿を見せる火星の風景の印象が強い。これは一大テーマパークだな。それも、細部まで手がかかった、いくつかのテーマのパークが複合したでっかいやつ。朝から夜まで遊び歩いて満足感と疲労感に包まれたふわふわした感じに似た読後感だが、一方で、風景もキャラクターも細かいところまで味わいきれなかったという気持ちが残る。その気持ちが忘れられなくて、今度は細部にこだわるリピーターになりそう。
読了日:12月17日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン


ブルー・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)ブルー・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)感想
さあいよいよ『ブルー・マーズ』だ。 時間を飛ばして始まるのだと思っていたら、ほぼ『グリーン』のラストからの続きでちょっとびっくり。革命が終わり、憲法制定へ。地球も変わり、火星もさらに変わる。そして人々の内面も変わっていく。変化の大きさに、下巻でどう終わるのか想像がつかない。
読了日:12月14日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン


グリーン・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)グリーン・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)感想
再読のはずなのに、内容をほとんど憶えていなかった。それもまた良し。 下巻前半のイベントは火星独立勢力を糾合した連合会議。さらにマヤ視点で、美しくも迫力に満ちた、火星における地中海誕生の姿が描かれる。そして、地球での激変をきっかけに二度目の革命へ。前回は、人間が少なすぎ、連携が弱すぎ、そして大気が薄すぎた。そのすべてが変わった状況で革命が進む。SFにおける独立革命と言えば『月は無慈悲な夜の女王』だけど、あの話ははるかに単純で楽天的だったなぁ。
読了日:12月11日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン


グリーン・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)グリーン・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)感想
熱狂と騒乱で始まった『レッド』に対し、静謐な辺境の光景から始まる『グリーン』。前作では謎の存在だったコヨーテやヒロコのグループ、変人科学者扱いだったサックスの姿が描かれる。そのサックスの視点から、着実に進むテラフォーミングの状況がわかりやすく示されるのが嬉しい。今回のメガテクノロジー・ネタは、超巨大太陽光集光・反射衛星「ソレッタ」。
読了日:12月10日 著者:キム・スタンリー・ロビンスン


レッド・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)レッド・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)感想
上巻の高揚が逆転して大崩壊を迎える下巻。マグマ(この場合は帯水層か)の圧力のような社会的緊張が高まっていく過程の描写がきつい。人間の類型を振り分けられた主要登場人物たちそれぞれの運命に共感しつつ、辺境に追い立てられた彼らの次なる活躍を期待して次巻『グリーン・マーズ』へ。再読なんで、すぐ次巻が読めるのが嬉しい。
読了日:12月07日 著者:キム・スタンリー ロビンスン


清須会議 (幻冬舎文庫)清須会議 (幻冬舎文庫)感想
Kindleでセールになっていたので、通勤時の読書用に買ったもの。だが、通勤時に読むというのは失敗だったかも。清須会議に賭ける面々のモノローグ(現代語訳)の連続は、やはり一気に読むことが前提のリズム・構成で、分割して読むのはもったいなかった。三谷幸喜作なんだから、舞台を見るノリでいかないとねぇ。それでも、コミカルな語り口ややり取りに隠された人間の怖さや切なさが迫ってくるのはさすが。
読了日:12月06日 著者:三谷 幸喜


レッド・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)レッド・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)感想
『ブルー・マーズ』積読解消のために再読。だが、おもしろい! 疾走するテクノロジー、激突する価値観。物語に奥行きを与える火星大地の美と驚異。これぞサイエンス・フィクション。再読のために手に取った時には分厚さに怯んだけど、読み始めると気にならない。逆に、「もっとやれ」「もっと読ませて」という感じ。
読了日:12月04日 著者:キム・スタンリー ロビンスン


日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)感想
自分の常識が揺らされる本は、本当に面白い。本書では、日本人の核は農業だという常識が揺さぶられる。常識的歴史認識の核にある農本主義以外の重商主義的な部分が、実はかなり大きかったのでは、という。これは確かに、信長は流通を押さえたので 資金豊富だったという話なんかと符合するんだろうと思った。明治維新の原動力となったのが薩摩長州土佐佐賀あたりだったのも、農本主義的大藩だったからではなく、重商主義的に活発な地域だったからではという余談的な話も面白かった。
読了日:11月30日 著者:網野 善彦


5分間SF (ハヤカワ文庫JA)5分間SF (ハヤカワ文庫JA)感想
久々のショートショート集。懐かしさを感じた。ほぼSFマガジン掲載作。こういう(伴名練が熱く綴っていた)未刊行短編をもっと読みたい。
読了日:11月24日 著者:草上 仁


誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-101)誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-101)感想
ファーストコンタクトを「異星生命体との最初の接触」と思っている人はハァ?となること受けあいのセレクション。編者あとがきによれば、テーマは「異質なものとの出会い」とのこと。まあ、日本作家6名(筒井、小川、野尻、円城、飛、野崎まど)、海外作家4名(クロウリースタージョン、ディック、コニー・ウィリス)いずれもひねりの効いた個性的作品で後々まで記憶に残りそう。特にコニー・ウィリスの「わが愛しき娘たちよ」は初読時、あまりに怖くて/気持ち悪くて強烈な印象を受けたのだけど、やっぱり恐ろしい話だった。
読了日:11月09日 著者: 


コンビニ人間 (文春文庫)コンビニ人間 (文春文庫)感想
社会からの疎外というテーマは古典的なものなのだろうけど、コンビニという題材の選択とキャラクターのデフォルメのしかたが上手くて共感しやすい、印象的な読後感だった。特にキャラクターのデフォルメのわかりやすさは、ホラーやSFのようなエンタメ小説の域では。芥川賞小説に興味を示すような人は、どこかで疎外感を感じているだろうから、この作品への授賞は、出版ビジネス的にも適切だったと思う。
読了日:11月09日 著者:村田 沙耶香


リスを実装する (Kindle Single)リスを実装する (Kindle Single)感想
「ケージの中で回し車を回し続けるリスを眺める男」を現代的に描くとこういう風に(も)なる、と。
読了日:11月05日 著者:円城 塔


クロストーク (新・ハヤカワ・SF・シリーズ)クロストーク (新・ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
久々にラブコメを堪能したわー。ほとんどワンアイデアを延々引っ張って飽きさせないコニー・ウィリスは、やはり上手。もちろん、妙に鈍いメイン・キャラクター達、余計なことばかりしでかす脇役勢という王道の「じれじれ」はたっぷり味わえます。携帯電話(スマートフォンという感じでは無い)という変化の激しいガジェットとテレパシーという古典的アイデアはどちらも料理が難しそうだけど、それを正面から取り上げ、押し切ってしまうところはベテランの余裕か。
読了日:11月05日 著者:コニー・ウィリス


タイムトラベル 「時間」の歴史を物語るタイムトラベル 「時間」の歴史を物語る感想
「時間とは何か」「タイムトラベルは可能か」。中二・高二・大二、と各年代で仲間と語りあった興奮をいつしか忘れていた。物理学、哲学、文学を渉猟して、その興奮をおじさんの魂に思い出させる力作。SF作家・SF作品への言及が楽しい(ル=グウィンとPKDが同じ高校の同級生という話にびっくり。見たらWikipediaにも書いてあった)。なんだかクラークに冷たくてハインライン推しらしいのが不思議。
読了日:10月31日 著者:ジェイムズ グリック


なめらかな世界と、その敵なめらかな世界と、その敵感想
いずれも個性的な6編。それらを結ぶ何かをうまく掴めないのは自分が年取ったせいか、SFの読みが足りないせいか。好みだったのは、美しさを素朴に楽しんだ表題作、語り口が楽しい「ゼロ年代の臨界点」かな。「ひかりより速く、ゆるやかに」は素直に泣かされたけど技巧的にも感じた。
読了日:10月28日 著者:伴名 練


ホット・ゾーン〈下巻〉ホット・ゾーン〈下巻〉感想
下巻は、ワシントン近郊のサル飼育施設の封じ込め・除染作戦が中心。結局、なぜサルから人間に感染しなかったのか、空気感染するのかしないのかといった肝心なところが不明で、怖さばかりがつのる。
読了日:08月26日 著者:リチャード プレストン


ホット・ゾーン〈上巻〉ホット・ゾーン〈上巻〉感想
エボラやマルブルク・ウィルスの感染例の描写がホラーノベル的にすさまじい(スティーヴン・キングがほめてる)んだけど、ノンフィクションとして評価されているからには、大きな誇張はないんだろう。恐ろしい。
読了日:08月26日 著者:リチャード プレストン


シンドローム (ボクラノSFシリーズ)シンドローム (ボクラノSFシリーズ)感想
現代日本を舞台にした『宇宙戦争』ものの佳作。落ち着け、落ち着け、冷静になるんだ、という主人公の恐怖と焦燥を恋に落ちる瞬間のざわめくような気分と重ねて肌身に感じさせられる文体がグッド。
読了日:08月13日 著者:佐藤 哲也


無限大の日々無限大の日々感想
ハードなメカ描写より、うねうねした生体描写の方がSFマンガとしてはより強く印象に残るのかもしれない。
読了日:08月11日 著者:八木ナガハル


超予測力―ー不確実な時代の先を読む10カ条 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)超予測力―ー不確実な時代の先を読む10カ条 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
カーネマン『ファスト&スロー』の内容も踏まえていて、その応用編という印象を持った。予測力と判断力は異なる(と著者も書いている)わけで、判断力を高めるにはどうしたらいいのかも知りたくなった。
読了日:08月11日 著者:フィリップ・E・テトロック,ダン・ガードナー


巨神降臨 下 (創元SF文庫)巨神降臨 下 (創元SF文庫)感想
【上下巻通して】この親子には泣かされちまったぜ!という大団円。さまざまな関係性の描写を通じて「他者とどう向き合うか」という視点が貫かれていた点に潔さを感じた。また、独特な形式から対話というものが持つ力を見せつけられた気分。
読了日:07月29日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル


巨神降臨 上 (創元SF文庫)巨神降臨 上 (創元SF文庫)
読了日:07月29日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル
巨神覚醒〈下〉 (創元SF文庫)巨神覚醒〈下〉 (創元SF文庫)
読了日:07月25日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル
巨神覚醒〈上〉 (創元SF文庫)巨神覚醒〈上〉 (創元SF文庫)感想
【上下巻通して】怒涛の展開に能天気な自分はアッと驚いた。一気に読まされた「計画」もあれは静かな序章だったのね。第三部の「降臨」が気になる気になる。
読了日:07月25日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル
巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)
読了日:07月22日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル
巨神計画〈上〉 (創元SF文庫)巨神計画〈上〉 (創元SF文庫)感想
【上下巻通して】壮大なプロローグ、という感じで話がどう転がるのか想像がつかない(そこが期待を持たせる)。巨神もそうだが、名無しのインタビュアーの正体が一番気になる。映像化されたら見栄えのよいシーン満載になりそう。
読了日:07月22日 著者:シルヴァン・ヌーヴェル


自生の夢自生の夢感想
既読の短編が2,3あるからいいかと積読になっていた。結果、『零號琴』読後に読むことになったが、それが良かった。『グラン・バカンス』から『零號琴』まで、言葉・情報が溶けた"海"とそこから湧き出てくる・蘇ってくるもの、そのために失われたもののイメージが繰り返されている?繋がっている?韻を踏んでいる?感覚が深い。そのメッセージのコアになっているものがよくわからなくて、飛作品の歴史を踏まえた『零號琴』の評論が読みたいのだけど、刊行半年過ぎても出てこないのが悲しい。
読了日:07月19日 著者:飛 浩隆


吸血鬼と精神分析(下) (光文社文庫)吸血鬼と精神分析(下) (光文社文庫)
読了日:07月16日 著者:笠井 潔
吸血鬼と精神分析(上) (光文社文庫)吸血鬼と精神分析(上) (光文社文庫)感想
このシリーズまだ完結してなかったんだっけと思い出して、久々の<矢吹駆>。相変わらず蘊蓄語りが面白いが、ナディア・モガールの勉強が進んだせいか、専門性がむき出しになってきていて理解が難しかった(というか理解できたように思えない)。
読了日:07月12日 著者:笠井 潔


われらはレギオン2 アザーズとの遭遇 (ハヤカワ文庫SF)われらはレギオン2 アザーズとの遭遇 (ハヤカワ文庫SF)
読了日:07月09日 著者:デニス・E・テイラー
われらはレギオン 3: 太陽系最終大戦 (ハヤカワ文庫SF)われらはレギオン 3: 太陽系最終大戦 (ハヤカワ文庫SF)
読了日:07月09日 著者:デニス・E・テイラー
われらはレギオン1  AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF)われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF)感想
ギークプログラマーな問題解決大好きおじさんの俺tueeファンタジーなので、大変楽しい。一応ある鬱展開も鬱度が低くおおむねストレスフリーなのは、「なろう」のヒット作なんかとも共通すると思うのだけど、日米にまたがる潮流とかあるんだろうか。
読了日:07月09日 著者:デニス・E・テイラー


三体三体感想
奇絶、怪絶、また壮絶! スケールの大きさと展開の容赦の無さに大陸の風を感じる。これから、ネタバレを警戒しつつ2巻・3巻を待つのが辛すぎ。
読了日:07月08日 著者:劉 慈欣


ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF)ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF)感想
「テクノロジーvsアイデンティティ」系3本、「遠未来・超テクノロジー」系2本に著者唯一というタイムトラベルもの1本。いずれもSFらしいSFだと思ったけど、スケールが大きな「鰐乗り」が読んでて一番楽しかったかな。しかし、イーガンの作品はどれも、息苦しさや不穏さが漂っていて自分のコンディションが悪いときは読むのが辛い。
読了日:04月28日 著者:グレッグ イーガン


独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで感想
・二十ウンねん振りにリブートしてコーディングに取り組んでみようという身には、最新のプログラマーのイロハを丁寧に教えてくれて、大変助かった。 ・この本を読んでわからないことをググって調べる癖をつければ、初心者から初級者へ簡単にステップアップできるのではないだろうか。 ・Webフレームワークについて、もう少し情報が欲しかった。今どきは、入出力の基本になっていると思うので。
読了日:04月14日 著者:コーリー・アルソフ


たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」感想
仕事のための勉強として発問の改善のヒントを得ようと思って読んだが、そもそも「教える側の発問」を「生徒たち自身の質問づくり」に変えるべしという内容だった。質問づくりの方法と事例を明瞭に示していて説得力がある。
読了日:04月13日 著者:ダン ロスステイン,ルース サンタナ


ドラキュラ紀元一八八八ドラキュラ紀元一八八八感想
吸血鬼オタクの吸血鬼オタクによる吸血鬼オタクのための吸血鬼群像小説。創元版が手に入らなかったので、増補復刊されて感激。お値段にはまいったけど、訳者渾身の人物事典の充実っぷりに脱帽&満足。ただし、ブラム・ストーカー版『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物が頭に入ってないと、おもしろさ半減かも。
読了日:03月29日 著者:キム・ニューマン


逆数宇宙  第2回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作逆数宇宙 第2回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作
読了日:03月16日 著者:麦原 遼

 


トランスヒューマンガンマ線バースト童話集トランスヒューマンガンマ線バースト童話集感想
強烈タイトルで示される発想(この3つを組み合わせる!?)と、それを形にする小ネタの引き出しの多さが素晴らしい。けっこうアッサリ風味なので、もっとじっくり書き込んだ長編も読んでみたい。一番印象が強かったのは、なぜか「モンティ・ホールころりん」。意味不明なんだけどクセになる。
読了日:03月12日 著者:三方 行成


脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書)感想
たとえれば、コンピューターのプログラムってどうやって動いているの?という疑問に、演算素子の原理、ブール代数といった土台から始めて、機械語のプログラムの仕組みあたりまで教えてもらったことに相当する?、という印象。こんな地味で単純な物理的な話(ニューロン)がキレイで複雑なグラフィックスの世界(意識)を本当に生み出しているのかという疑問を感じつつ読みすすめると、確かに積み上げていくとそうなるのかと説得されてしまう。こういう例えでいいのか、内容をよく振り返ってみたい。
読了日:03月10日 著者:渡辺 正峰


人工無脳、はじめました: Python3篇人工無脳、はじめました: Python3篇感想
AIブームの影響で、昔からある人工無脳ってどんな作り?自分でも作れそうなものなの?という興味から、値段・分量ともお手軽な本書を選んで読んでみた。プログラムの作りについてはざっくりとしたもので、実用性重視な人は物足りないだろう。しかし、大部分を占める人工無脳人工知能に関する考察が刺激的で満足感が高かった。人工無脳という定義があいまいな代物を作るためには、設計思想が重要だということがよく理解でき、今後も勉強したくなる。
読了日:03月06日 著者:堀彰良


接続戦闘分隊: 暗闇のパトロール (ハヤカワ文庫SF)接続戦闘分隊: 暗闇のパトロール (ハヤカワ文庫SF)感想
サイバー化された歩兵=接続戦闘分隊の設定がよかった。特に第一部、アフリカの片田舎の拠点を守る主人公たちの日々の活動が妙に生々しくて楽しめた。主人公の意識に介入してくる存在の正体(についての仮説)も風刺が効いていてよかった。おしむらくは、悪役がなぁ。悪役の魅力の弱さで後半がつらい。
読了日:03月06日 著者:リンダ ナガタ


巨大システム 失敗の本質: 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法巨大システム 失敗の本質: 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法感想
『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたの』と似たテーマだが、書かれた時期が最近なので、取り上げられている事例も現在の一般的な状況をよりよく反映しているように感じられた。問題が起こる要因(複雑度×結合度)や複数の観点からの対策の方向性を示している点も参考になる。
読了日:03月04日 著者:クリス・クリアフィールド,アンドラーシュ・ティルシック


ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所 (河出文庫)ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所 (河出文庫)感想
え、これはミステリーなの?ファンタジー?SF?と混乱するうちに、そうだ"ダグラス・アダムズ"というのはそれで一つのジャンルなんだ、とほのぼのできる1冊。不条理満載で、誰でもお気に入りの不条理シチュを発見できるはず。自分は"運び出せなくなったソファ"かな。
読了日:03月04日 著者:ダグラス アダムス


チュートリアル (Kindle Single)チュートリアル (Kindle Single)
読了日:02月27日 著者:円城 塔

 


正解するマド (ハヤカワ文庫JA)正解するマド (ハヤカワ文庫JA)感想
これは買い逃して絶版になると後悔する類の本。 アニメ『正解するカド』一気見が衝撃体験だったので、その勢いで買ったのだけど、アニメ本編に匹敵するインパクトがあった。この衝撃を引きづったまま、『誤解するカド』も買いそうな気分。
読了日:02月23日 著者:乙野四方字


蔵書の苦しみ (光文社新書)蔵書の苦しみ (光文社新書)感想
読んでいる間にこんまりさんNetfix大ヒットの話題が流れてきてのだけど、岡崎氏も結局、Spark Joy!の感じられる蔵書が一番、と言っているようでおもしろかった。
読了日:02月07日 著者:岡崎 武志


おうむの夢と操り人形 (Kindle Single)おうむの夢と操り人形 (Kindle Single)感想
作者の、モノやコンセプトの筋の良さ、素性の良さ、出来の良さといったものへの愛を感じる。設計・実装思想のプリンシパルへの愛。言うならば「アーキテクチャ愛」か。長編『オービタル・クラウド』でも似たところを感じたが、あちらはエンタメ大作らしく万人受けを目指した分、ノイズも多かったと思う。本作は短くシンプルに好みを打ち出しているので、合わない人には合わないだろう。自分には合った。
読了日:02月07日 著者:藤井 太洋


グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 (Kindle Single)グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 (Kindle Single)感想
夏の日にやって来るツェッペリン号、それを迎える土浦のお祭り騒ぎ、その中を駆け抜けるヒロイン、というだけで満足したのでした。
読了日:02月04日 著者:高野 史緒


ハロー・ワールドハロー・ワールド感想
「カッコいいとは、こういうことさ。」という名コピーがあったけど、この短編集も「格好いい人」の姿を見せてくれて爽快。「巨象の肩に乗って」は最後の行のカッコよさに痺れて、思わず冒頭に戻って読み返してしまった。書下ろし「めぐみの雨が降る」はちょうどETCへの51%攻撃もあって、現実との接続感が半端ない。Kindle限定のおまけ短編、内容はともかくフォーマットがカッコよくなかった。
読了日:01月22日 著者:藤井 太洋


七人のイヴ III (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ III (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
読了日:01月20日 著者:ニール・スティーヴンスン
七人のイヴ Ⅱ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ Ⅱ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
読了日:01月19日 著者:ニール・スティーヴンスン
七人のイヴ Ⅰ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)七人のイヴ Ⅰ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
<Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ通して>円環と指数関数をバックグラウンドに繰り出されるテクノロジーの数々には圧倒され、満足度大。一方で人間ドラマはぼやけた印象。Ⅱ巻ラストは流石に盛り上がってカタルシスを感じたけど……Ⅰ・Ⅱ巻で印象的だったイヴの中の2人の関係がⅢ巻に反映されていなかったのは大不満。
読了日:01月15日 著者:ニール・スティーヴンスン


零號琴零號琴感想
1回読んだだけじゃ、何がなんだかよくわかりかせん! アヴァンタイトルのシーンが『百億の昼と千億の夜』のエンディングみたいなのが気になって、後の話がよく呑み込めなかった。また、読まないと。
読了日:01月01日 著者:飛 浩隆

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