メディヘン5

時々書く読書感想blog

ノンフィクション

読書メモ:アーシュラ・K・ル=グウィン『ファンタジーと言葉』

ル=グウィンによる物語論・創作論を中心としたエッセイ集。原書は2004年刊行(著者75歳、《西のはての年代記》三部作刊行開始前後のタイミングか)それほど思い入れがある人では無いし、自分自身は創作しようというタイプでもないのだけど、読み流すには惜し…

感想:ノーマン・マクレイ『フォン・ノイマンの生涯』

フォン・ノイマンというと、長い間、現在のコンピューターを定義したとも言えるノイマン型アーキテクチャの提唱者としてしか知らなかった。しばらく前、フリーマン・ダイソンの息子ジョージが書いた『チューリングの大聖堂』を読み、計算機分野に収まらない…

感想:ヘンリー・ジェンキンズ『コンヴァージェンス・カルチャー』

90年代の米国ファンダム文化研究の延長としてインターネット時代初期のファン参加型コミニュティの実相を渉猟し、メディアとファンの関係変化の様相を報告。主に取り上げられているコンテンツ=コミュニティは、『サバイバー』『アメリカン・アイドル』『マ…

感想:ジェイコブ・ソール 『帳簿の世界史』

人類の歴史の中でも、これほど進歩が遅い技術分野は珍しいのでは。「すばらしく輝かしく、途方もなく大変で、圧倒的な力を持ち、しかし実行不能」(ディケンズ)という帳簿・会計の歴史をたどると、会計をうまく扱って成功するには生活・文化の一部に溶け込…

感想:ジミー・ソニ, ロブ・グッドマン『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』

情報について学ぶと教科書の一番最初に出てくるシャノン。そのシャノンの伝記が出たというので読んでみた。デジタルとビットの概念を見出したシャノンは、コンピューターとインターネットの歴史の最重要人物だろう。そのシャノンの伝記というものが2017年に…

彭丹『中国と 茶碗と 日本と』 感想 この謎はおもしろい

HONZ.jpのレビュー(『貧乏するにも程がある』 - HONZ)を読んで興味を惹かれ、購入。中国と 茶碗と 日本と作者: 彭丹出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/08/31メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (11件) を見る 茶道・茶の湯で用いられ…

栗原景太郎『白鴎号航海記』 感想

1970年刊行の日本人初のヨットによる世界周航記。昨年、ムスコと神田古本まつりに行った際に購入。@ワンダーの路地裏書棚から拾った。値段を見ると210円なんだけど、ネットで値段を調べるとお買い得だったのかもしれない。白鴎号航海記 (1970年)作者: 栗原景…

ローアル・アムンセン『南極点』 計画的犠牲にもとづく成功

会社帰りに古本屋で購入。世界で初めて南極点に到達したアムンセン*1。))自身による探検記。現在店頭に並んでいるのは中公文庫BIBLIO版の『南極点征服』(谷口晋也訳・237ページ)で、こちらを買おうと思っていたのだが、買う前に行きつけの古書店「ねこの手…

ケネス・ブラウワー『宇宙船とカヌー』

ちくま文庫1988年刊行・定価800円、現在は在庫切れ。なんとなく Amazonで値段を見たら、マーケットプレースで中古700〜2,500円からコレクター商品12,600円(!)の値が。全然、知らない本で、行きつけの古本屋で偶然見つけて買ったんだけど、実は人気の本だった…

高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

最近、小6のムスコが本を読まないと言う。このタイトルは彼のツボだろうと思って置いておいたら、早速読み始めたらしい。久々のあたりでありました。幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)作者: 高野秀行出版社/メーカー: 集英社発売日: 2003/01/17メディア: 文庫…

アプスレイ・チェリー・ガラード『世界最悪の旅』

チェリー・ガラードという人の名前は、キム・スタンリー・ロビンスンの『南極大陸』(→感想)で知った。仰々しいタイトルは、原題も"The Worst Journey in the World"。世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)作者: アプスレイチェリー・ガラード…

スティーヴン・キャラハン『大西洋漂流76日間』知識と技術と心と不思議

昨年暮れに読んだ本。『エンデュアランス号漂流』、『恐るべき空白』に続く、遭難記もの。大西洋漂流76日間posted with 簡単リンクくん at 2007. 1. 9スティーヴン・キャラハン著 / 長辻 象平訳早川書房 (1999.5)ISBN : 4150502307価格 : ¥756通常2-3日以…

ウォルター・ウェストン『日本アルプスの登山と探検』

別に登山好きというわけでもないのだけれど、探検物の古典を読みたくなって、岩波文庫の中で目についた本書を購入。日本アルプスの登山と探検posted with 簡単リンクくん at 2006.12.10ウェストン著 / 青木 枝朗訳岩波書店 (1997.6)ISBN : 4003347412価格 : …

秋山岳志『英国運河の旅 ナローボートでゆっくり、のんびり田園めぐり』

青空と緑の組み合わせというのは、なかなか素敵なものです。夏の英国の田園地帯というのは、まさにその魅力を満喫できるようなイメージがあります。青空と緑の魅力を楽しむには、『歩く』というのが基本でしょうけれども、英国の田園地帯を楽しむためにピッ…

アラン・ムーアヘッド『恐るべき空白 死のオーストラリア縦断』

私が読んだのは、カンガルーの遺骸の写真(岩合光昭撮影)が印象的なハヤカワ文庫NF版なんですが、今売られているのは、下側の“ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース”版のようです。恐るべき空白posted with 簡単リンクくん at 2006.10.30アラン・ム…

エリザベス・コーディー・キメル『エンデュアランス号大漂流』

シャクルトン本第3弾。エンデュアランス号大漂流posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.11エリザベス・コーディー・キメル〔著〕 / 千葉 茂樹訳光文社 (2006.7)ISBN : 4334784348価格 : ¥620通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細…

アーネスト・シャクルトン『エンデュアランス号漂流記』

シャクルトン本第2弾。第1回のランシングの本と一緒に買っていたのだが、読むのは後にした。本人がカッコ付けて書いていて、第三者の評価が全然違ったら、幻滅しちゃっていやだなぁ、と思ったため。エンデュアランス号漂流記posted with 簡単リンクくん at…

アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』

キム・スタンリー・ロビンスンの『南極大陸』では、南極探検黄金時代、すなわち20世紀初頭の南極点初到達が競われていた頃の南極探検の逸話が、いくつも紹介されている。『南極大陸』自体、南極圏での遭難とサバイバルがテーマの一つになっているし、また、…

W. H. ハドソン『ラ・プラタの博物学者』

中学生か高校生のころ読んで、ずっと本棚に並べていた本。本棚を眺めているうちに、突然思い立って、約20年ぶりに再読。ラ・プラタの博物学者posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.19ハドソン著 / 岩田 良吉訳岩波書店 (1979)ISBN : 価格 : ¥683この本は現…

ピーター・アトキンス『ガリレオの指』

昨年末の発刊時、「科学の華々しい成果を1冊に凝縮」という惹句にひかれて買ったもの。その割には積読状態になっていて、ようやく読了。ガリレオの指posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.30ピーター・アトキンス著 / 斉藤 隆央訳早川書房 (2004.12)ISBN …

都築響一『TOKYO STYLE』 手が届く幸せ

文庫版の写真集というのが好きで、時々、買ってしまう。小さいのに結構持ち重りがして、なんだか充実感が感じられる。そんな気分で、先日、衝動的に購入。Tokyo Styleposted with 簡単リンクくん at 2006. 7.29都築 響一著筑摩書房 (2003.3)ISBN : 448003809…

佐藤和歌子『間取りの手帖』 Madoristって?

気になる本はいろいろ出るけれども、買うのに必要なのは、財布の中身とその日のノリ。多くは絶対、読みたい、というものでもないので、まあいいか、と買わずにすませることになる。いつもの本屋に立ち寄るたびに、そういった買いそびれ本がチラチラ視界に入…

スーザン・トラヴァース『外人部隊の女』 勇敢になりたかった女

第2次大戦中にフランス外人部隊に従軍し、戦後、レジョン・ドヌール勲章を受けた女性の手記。上記の島謙作さんの記事を読んで、面白そうだと思っていたところ、ちょうど巡回先の古本屋で発見。さっそく購入して読んで見た。 この手記、戦争小説・冒険小説・…

吉村作治『豊饒のナイル、ルクソールの食卓』 エジプト味はトマト味?

ピラミッド研究などで有名な早大の吉村先生のエッセイ。題材は、タイトル通りエジプトの食物で、飲み物編・野菜料理編・魚料理編・鳥料理編・肉料理編に分かれています。豊饒のナイル、ルクソールの食卓posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.29吉村 作治著…

ジョージ・オーウェル『カタロニア讃歌』 オーウェル、33歳の冬。

カタロニア讃歌posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.25ジョージ・オーウェル著 / 橋口 稔訳筑摩書房 (2002.12)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見るAmazon■内容&感想『1984』と『動物農場』で有名なジョージ・オーウェル…