メディヘン5

時々書く読書感想blog

読書日記  2025年2月22日〜2月28日

読んでいる本

引き続きマーダーボット・ダイアリー・シリーズ、マーサ・ウェルズ『システム・クラッシュ マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫)』を読んでいる、というか、下に書いたWeb小説が面白すぎてちょっと中断。この話、2/3くらいまで読んだところ、あまりストーリーに起伏がなくて、「弊機」氏の警備ボットお仕事小説みたいになっている。この後、すごく盛り上がりそうな気もしないんだけど、どうなるんですかね。

買った本

刊行情報に気づいた時点で速攻で予約購入したクリストファー・プリースト『不死の島へ』が到着。

『夢幻諸島から』はハヤカワだったのに今回は創元。翻訳は同じ古沢嘉通氏だから、出版社が変わっても特に不都合は無い。とはいえ、『夢幻諸島から』の表紙が気に入っていたので、同じ新☆ハヤカワ・SF・シリーズの装丁で並べたかったという気もする。

読んでいるWeb小説

先週読み始めた『GSO グローイング・スキル・オンライン』は、VRMMOでも戦闘中心になってちょっと食傷してきたところ、 次にくるライトノベル大賞2025 結果発表を見て、前から気になっていた『汝、暗君を愛せよ』を読むことにした。結果、止まらなくなり、続編?外伝?セルフパロディ?の『地に落ちて死なずば』まで一気に読み切ってしまった。

この話を知ったのは、『オルクセン王国史』と並ぶ仮想欧州歴史物の双璧とした挙げる人が多かったから。オルクセンは19世紀プロイセン的国家をネタにした戦記ものであるのに対して、「汝」は18世紀フランス的国家がネタの内政もの……と思ったら、実はルイ16世的立場の王に転生した主人公による実存小説だった。

汝、暗君を愛せよ』第一部は「おもしろかった(小説・文学として)」し、第二部は「泣けた(エンタテインメントとして)」。そして、続けて読んだ『地に落ちて死なずば』はまた「おもしろかった」。通して読むと、「地に落ちて」を第三部とする一つの実存小説になっていると言う仕掛けがすごい。

哲学は知らないので読み終わって振り返るまで気づかなかったけれども、章題がサルトルの著作タイトルから取られていたり仕掛けが多そう。そういうところを掘り返すのも楽しそうな作品。

読書日記  2025年2月15日〜2月22日

読んでいる本

春暮康一 『一億年のテレスコープ』を読了。SF的想像力が存分に発揮された、SFを読む楽しみを再認識させてくれた作品だった。

続いて、マーダーボット・ダイアリー・シリーズの読み残し、マーサ・ウェルズ『システム・クラッシュ マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫)』を読んでしまおうと読み始めた。長編としての前作は『ネットワーク・エフェクト』だけど、この2冊の間に中短編集の『逃亡テレメトリー』が挟まっていることも合って、前の話を憶えていない。でも、『システム・クラッシュ』冒頭に「前作のあらすじ」が合って安心。

気になった本

先週の週末、暖かかったので久々に西荻窪駅前の今野書店へ。滅多に好みが一致しない万城目学と森見登美彦が共に推しているというブッツァーティ『タタール人の砂漠 (岩波文庫)』が気になった。パラパラめくったところ、読みこなすのが難しそうに見えたので購入まで至らず。次に来るときまでに買うかどうか考えよう。

また、X上で「GQuuuuuuX映画版と同じ意味でリアルタイムに衝撃を味わうべき」とされていたFSS最新話掲載の月刊Newtype 2026/3月号が立ち読みできるようになっていたため、ついつい読んでしまう。言われていた通り、物凄い展開だった。あまりの衝撃に読み終わった途端、クラクラきて店を出てしまったが、何も買わずに立ち去ってお店に悪いことをした。

読んでいるWeb小説

VRMMOものを読みたいと思って先週読み始めた『 山と谷のある話 』は、どうもノリが合わずストップ。昔懐かしい『ルルシィ・ズ・ウェブログ』(2013年の作品)を再読。この作品は、なんとなく「なろう」以前の個人HP中心時代のWeb小説の雰囲気があるように思うんだけど、どこが違うんだろうか。その後、VRMMOものをいくつか出だしだけ読んで、『GSO グローイング・スキル・オンライン』に落ち着く。600話以上あるので、しばらく楽しめそう。

8万年生きる不死の戦士の物語 キアヌ・リーヴス&チャイナ・ミエヴィル『再誕の書』

ハリウッドの大スター、キアヌ・リーヴスと英国ファンタジー作家、チャイナ・ミエヴィルの共著、『再誕の書』を読みました。

ハリウッド・スターと英国実力派ファンタジー作家の異色の共演

著者の一人目、キアヌ・リーヴスは言わずと知れたハリウッドの名優ですね。ジャンルを問わず出演されていますが、<マトリックス>や<ジョン・ウィック>のようなSF・アクション作品が有名かと。私は、彼の出演作の中ではアメコミ原作の『コンスタンティン』の絵から抜け出てきたような退廃的2枚目ヒーロー役が大好きです。『マトリックス」のネオよりハンサムで、共演の女優さん達より美しいという。

もう一方の著者、チャイナ・ミエヴィルは実力派の英国ファンタジー作家。現代のロンドンの魔法的側面を描いた『クラーケン』、オリジナリティ溢れる架空ファンタジー世界を舞台にした『ペルディード・ストリート・ステーション』、同じ場所に存在しているにも関わらずお互いを無視して別々の街として人々が活きる都市を超絶技巧で描いた『都市と都市』などが翻訳されています。どれを読んでも読後の満足感は半端なく、私にとっては新刊が出たら絶対買う作家さんの一人です。

この二人がどうして組むことになったのか不思議ですが、異色のカップリングではあるものの私にとっては双方とも注目しているクリエーターの作品です。しかも、不死の戦士の8万年に及ぶ放浪を描くというロマン溢れる物語。千年二千年とかではなく、8万年と人類の歴史を吹っ飛ばしていくところが大スケールで素晴らしい。この本の存在はWeb本の雑誌の『今週はこれを読め! 【SF編】』の記事 で知りましたが、これは読まなきゃアカンやつだ、と記事を読んで即、購入に走りました。

続きを読む

読書日記  2025年2月8日〜2月14日

この読書感想ブログがメインブログなんですが、肝心の読書感想があまりに書けません(そもそも本を読むペースが遅すぎ)。あまりに寂しいブログになってしまっているので、とりあえず読書活動の記録を投稿していくことにしました。週単位で書こうというものに「日記」とつけて良いものか気になってしまったのですが、GoogleのAI回答が「問題なし!」とお墨付きをくれたので、読書日記としてみます。この投稿は、常体で書くつもりです。

読んでいる本

春暮康一『一億年のテレスコープを読み始めた。

天文好きの少年が大人になり、さらに寿命を越えて「彼方を見る」活動を継続していく連続ショートエピソードがメインストーリー。このメインのエピソードの前後を遠未来・遠過去という2種類のショートエピソードが挟んでいく構成。どんどんエスカレーション、インフレーションしていくメインエピソーのスケールアップ感が楽しい。短いエピソードに分割されているところも、細切れ読書に合っていて読みやすい。

買った本

フレドリック・ブラウンSF短編全集1『未来世界から来た男』と『SFが読みたい! 2026年版』を購入。

フレドリック・ブラウンの全集は全5巻とお手頃な規模なので、全巻揃えてみようかと。一巻は1,200円で、今時としてはお財布にも優しいし。

『SFが読みたい!』はここ数年買っていなかったのに、なぜかやる気を出して購入。パラパラめくったところ、冬木糸一・大森望という私が信頼するレビュアーから強力に推されている矢野アロウ『マイ・ボディ・オン・ザ・ムーン」(2026年6月刊行予定)と、バーナード嬢出張編で扱われている野崎まど『小説』が強烈に気になった。

読んでいるWeb小説

相変わらず、ちょっと手が空くとWeb小説を読んでしまう。カッパえびせん状態というか中毒症状というか。今週は、『ブレーメンの錬金術師は散財したい』を最新エピソードまで読んでしまい、その後、『山と谷のある話 』を読み始めた。

ブレーメン錬金術師』は、猫(ケット・シー)のキャラが錬金術師、商人、農家、召喚士、テイマーと気の向くままジョブに手を出しつつ、フラフラとゲーム世界を旅するVRMMO話。要素が盛りだくさんなのに、あまり混乱した印象を受けない文章力が素晴らしい。

その「ブレーメン」の最新話まで追いついてしまったため、お次はブックマークのリストにあるのにどんな話だったか思い出せない『山と谷のある話』を読むことにした。スケルトン(骸骨)キャラのVRMMO話。今はVRMMOものが読みたい気分なのです。

原作と映画で二度おいしい 呉勝浩『爆弾』

『爆弾』とは

呉勝浩『爆弾』は、2022年に発表されたクライム・サスペンス。『このミステリーがすごい! 2023年版』と『ミステリが読みたい! 2023年版』の双方で国内編 第1位を受賞し2023年 本屋大賞で第4位、2022年の直木賞でも候補作に選出されています。

この作品は2025年に映画化され、映画も第49回日本アカデミー賞の優秀作品賞、FILMARKS AWARDS 2025 国内映画部門 優秀賞を受賞しています。

私と『爆弾』

私はミステリーは普段読まないですし、日本映画もほとんど見ていません。ところが、この『爆弾』については、原作・映画の両方を読み/観ました。

そうなったのは完全に妻の影響です。妻はここ数年、エレファント・カシマシの宮本浩次さんを推しております。その宮本浩次さんが映画『爆弾』のエンディング・テーマを担当されました。推し活に邁進する妻は、そのエンディング・テーマの音源を購入したのはもちろん、小説『爆弾』を購入し、映画が公開されると映画鑑賞に出かけました。その妻の映画『爆弾』鑑賞にお供し、さらに妻が購入した小説『爆弾』を読んだというのが、私が『爆弾』に接した経緯です。

毎度思いますが、ファン当人が映画鑑賞・小説購入するだけではなく、その相方まで巻き込んでいくのですから、推し活というものの波及効果というものはすごいものだと思います。

続きを読む

「主人公自身の謎」に導かれる超展開SF三選:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『レッド・リバー・セブン:ワン・ミッション』『反転領域』

SFを含むエンタメ作品の多くは、主人公の人物像を冒頭からはっきりさせていることが多いように思います。読者としても、物語を読む視点を定め、感情移入していくには、主人公の人間像がイメージできた方が楽です。ですので、主人公の立場をあいまいなにしたまま読者を物語に引き込むには、作者にかなりの腕前が必要そうです。

そういう難しさがあるのに、主人公の身の上や立場が謎のまま物語が進み、しかもグイグイ引き込まれてしまうという名人芸的腕前を楽しませてくれる。今回はそんなSF作品を取り上げます。

アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

「わずかなりとも事前情報に触れるべからず」というキャッチフレーズ(?)で有名な『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。この作品は、主人公が記憶を失った状態で目覚めるシーンから始まります。自分は何者なのか、どこにいるのか、なぜそこにいるのか、主人公自身にも一切不明。主人公をめぐる5W1Hすべてが謎です。

作者ウィアーが上手いなぁと思うのは、この謎を主人公自身が一つ一つ解き明かしていくステップが、ストーリーの導入の「つかみ」として魅力的に機能しているところです。さらに、このステップの一つ一つから、主人公の人となりが頭に入ってくるので、その後の予想のつかない展開も安心して楽しめます。SFに慣れていない人にも自信をもっておすすめできる、現代のSFのスタンダードがこの作品ではないでしょうか。

続きを読む

ブログ記事改善のための読書メモ(Part 3完): 北村紗衣『批評の教室』、豊崎由美『ニッポンの書評』

『批評の教室』と『ニッポン書評』から自分のブログ記事の改善のために役立ちそうな文章の引用と自分の覚え書きを記録した読書メモ、Part 3は執筆の実際についてです。

執筆

タイトル

『ニッポンの書評』では書評のタイトルについてあまり述べていません。これは、書評のタイトルは編集者が決めることが多いからなのかもしれません。

一方、『批評の教室』では、明確に、最初にメインの切り口を一つに定めて、それに合わせたタイトルを決めて書くのがよい、としています。

初心者が批評を書く時に大事なのは、メインの切り口を一つにすることです。<略> 軸なしにいろんなことを書くと、判然としてまとまりがない感じになってしまいます。(『批評の教室』)

ひとつめはタイトルを決めると内容が決まることがあるということです。たとえば作品を見て疑問に思ったことがあり、それを解き明かしたい場合はとりあえず具体的な問いをタイトルにしてみましょう。(『批評の教室』)

自分のブログ記事の場合、著者名・作品名に「感想」とだけつけたり、記事内容を表す言葉をつけてみたり、タイトルの付け方が定まりません。今後は、『批評の教室』のおすすめに合わせて、記事内容を表す言葉=記事タイトルに著者名・作品名を足す形式にしてみようかなと思いました。

続きを読む