チャイナ・ミエヴィル『言語都市』感想
『ペルディード・ストリート・ステーション』『都市と都市』の2作を楽しませてもらったチャイナ・ミエヴィルの新刊。これを読まんでどうする、ということで、発売前からhonto.jpで予約して購入。まあ、hontoのポイントの期限が切れそうだったからだけど。
- 作者: チャイナ・ミエヴィル,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/02/26
- メディア: 単行本
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読み始めてみたら、導入部、話に乗れずに辛い辛い。『ペルディード』もそうだったしなぁ〜と思ってみても、今一ページが進まない。70ページ過ぎたあたりでウ〜ンと思っていたら、ちょうど小川一水氏の
というつぶやきがあって、気が楽になった。確かに80ページあたりから話が動き出して、読みやすくなります。
続きを読む日本SF作家クラブ編『日本SF短編50 I』 感想
ハンヌ・ライアニエミ『量子怪盗』 感想
読みたい/読まなきゃいけない本が溜まっているので、この本は昨年出たとき以来スルーしてきた。しかし普段読ませていただいてる書評系のblog複数での好評価を見て、どうしても気になったので結局、購入。
Kindle版も出ているけど、ここは紙版を購入。銀背から受け継いだスタイル、ビニールカバー付き、手塗りで仕上げられた小口、といったこだわりを見てしまえば、このシリーズばかりは紙版で行くしかないでしょう。
- 作者: ハンヌ・ライアニエミ,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/10/11
- メディア: 単行本
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前述の書評系blogいくつかでの言及をツラツラ眺めていて、どうもこれは高評価だぞ、と思った途端、ストーリーに関して書かれた部分は自動的に脳がシャットダウン。読み始めた時に持っていたストーリーについての情報は、どうやらアルセーヌ・ルパンものと関わりがあるらしいということくらい。購入する時も、買うのを決め込んでいたのでオビをじっくり見ておらず、記憶に残ったのは、「怪盗登場」とか「怪盗VS名探偵の対決」という部分のみ。
だもんで、読み始めてしばらくは、怪盗物というかミステリー系の話なのかと思っていた。ところが読み進むうちに、どうも探偵役が迷走しはじめたうえに怪盗とヒロインの絡みが盛り上がってきたので、これはひょっとして頭脳労働担当+肉体労働担当のコンビもののヒロイック・ファンタジーに近いのかも、と思い始めた。
続きを読む彭丹『中国と 茶碗と 日本と』 感想 この謎はおもしろい
HONZ.jpのレビュー(『貧乏するにも程がある』 - HONZ)を読んで興味を惹かれ、購入。
- 作者: 彭丹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/08/31
- メディア: 単行本
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茶道・茶の湯で用いられる「茶碗」の名宝の来歴をめぐる謎についての本。
著者は中国からの留学生で、本書も博士論文のための研究が下敷きとなっているらしく、謎だけ提示して”お茶を濁す”ような内容ではない。日中の古今の文献を渉猟し、著者独自の見解がきっちり示されております。
自分自身は正式なお茶の席を体験したこともなく、「茶碗」についても、戦国時代物の小説などで、戦国武将たちが珍重したお宝、という程度の認識しかなかった。
だけど、日本の国宝となっている「曜変天目茶碗」は世界に3点しか存在せず、その全てが日本の国宝、原産地・中国にも残っていないが、それはなぜか?、などという謎を示されると、伝奇小説のあらすじに引き寄せられるがごとく、内容が気になって仕方がなくなってしまった。
続きを読む[日本SF][海外SF]SFマガジン編集部『SFが読みたい! 2013年版』 感想
昨日、地元・西荻窪の本屋を廻って三軒目の書店で購入。
- 作者: SFマガジン編集部,Pablo Uchida
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/02/08
- メディア: ムック
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ベストSF2012
『SFが読みたい!』となれば、何はともあれ、まずは年間ベスト。
海外・国内とも、ベスト5くらいまでしか意識してなかったなぁ。そのベスト5も、半分くらいしか読んでなくて、残りは積読とか購入予定。まあ、これからのんびり楽しませてもらいましょう。
ベスト5以外の作品ともなるとなかなか全ては読めなさそうだけど、『SFが読みたい!』の紹介やネットでの評を読むと、特に下の作品は読みたくなっている。
西荻窪の新刊書店で『SFが読みたい!』を探したら
昨日、三連休の初日をベッドに篭ってうたた寝とネット小説三昧で潰したところ、カミサンから「あまりに不健康」とダメ出しを喰らった。いいじゃない、何もイベント無いんだから……
で、連休中日の今日は散歩の一つも行ってこいとなったので、ブラブラ歩きながら、先週金曜2/8に発売されたはずの『SFが読みたい! 2013年版』を探しに地元・西荻窪駅前の新刊書店巡りに。
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フツー、天下の早川書房が出す『SFが読みたい!』くらいの本(雑誌?)ともなれば、発売日に店頭に並ぶはずだが……そこは、中央線沿線でも今一マイナーなローカルタウン・西荻窪のこと、これまたマイナージャンルであるSF関係本がちゃんと配本されているか心許無い。
さらに、今回は、『SFが読みたい!』だけではなく、最近ネットの観測範囲で高評価のライアニエミ『量子怪盗』も買いたいという心積り。ハヤカワSF文庫であれば西荻窪の本屋にもそこそこ置かれているのはわかっているが、「新★ハヤカワSFシリーズ」(これ★も正式名称の一部?)まで置いていたかどうか自信無し。
おまけに最近は、一番便利な信愛書店しか行ってないので、本屋の状況がわからない。まあ、行ってみようということで……
続きを読むケイジ・ベーカー『黒き計画、白き騎士』感想 カリフォルニア歴史観光SF
ネットで見ていたらおもしろそうだったので。
タイムトラベル+秘密結社→歴史に潜む謎と陰謀、というと際物っぽいのだけど、それが高い評判とどう結びつくのか興味があった。
黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: ケイジベイカー,Sparth,Kage Baker,中村仁美,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 文庫
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というわけで、読み始めたのだけど、この短編集だけだと、あんまりタイムトラベルものっぽくも、秘密機関エージェントものっぽくも無かった!ぜひ、シリーズの他の作品(特に長編)を出して欲しい。アレックが登場する何本の作品なんか、この短篇集だけだと意味がわからなすぎる。
まあその分、著者の小説家としての力量が感じられて、SF小説の作品集としておもしろかった。不老不死の超存在と歴史に埋もれていく人間たちの交歓やすれ違い、謎の組織の滑稽さや組織と個人のぶつかり合いなどなど。
また、著者はカリフォルニアで生まれ暮らした人のようだけど、そのカリフォルニアへの愛情が込められた舞台描写がなかなか。カリフォルニアと言っても、大都市周辺の観光名所などではなく、忘れられかけている歴史や美しい自然を描き、ちょっとした歴史観光案内のようでもある。
そういうわけで、各作品の舞台となっている場所をGoogle Mapにプロットして、現在の姿を辿りやすくしてみた。
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