ケイジ・ベーカー『黒き計画、白き騎士』感想 カリフォルニア歴史観光SF
ネットで見ていたらおもしろそうだったので。
タイムトラベル+秘密結社→歴史に潜む謎と陰謀、というと際物っぽいのだけど、それが高い評判とどう結びつくのか興味があった。
黒き計画、白き騎士: 時間結社〈カンパニー〉極秘記録 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: ケイジベイカー,Sparth,Kage Baker,中村仁美,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 文庫
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というわけで、読み始めたのだけど、この短編集だけだと、あんまりタイムトラベルものっぽくも、秘密機関エージェントものっぽくも無かった!ぜひ、シリーズの他の作品(特に長編)を出して欲しい。アレックが登場する何本の作品なんか、この短篇集だけだと意味がわからなすぎる。
まあその分、著者の小説家としての力量が感じられて、SF小説の作品集としておもしろかった。不老不死の超存在と歴史に埋もれていく人間たちの交歓やすれ違い、謎の組織の滑稽さや組織と個人のぶつかり合いなどなど。
また、著者はカリフォルニアで生まれ暮らした人のようだけど、そのカリフォルニアへの愛情が込められた舞台描写がなかなか。カリフォルニアと言っても、大都市周辺の観光名所などではなく、忘れられかけている歴史や美しい自然を描き、ちょっとした歴史観光案内のようでもある。
そういうわけで、各作品の舞台となっている場所をGoogle Mapにプロットして、現在の姿を辿りやすくしてみた。
より大きな地図で 『黒き計画、白き騎士』カリフォルニア地図 を表示