新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー』
夏の家族旅行に持って行く本を何にしようか、と考えて、昨年の出版時に読んだ際はストーリーの先を追うのに忙しくて読み飛ばしてしまった感のある、この話を読み返してみることにした。夏だし、旅行だし、ちょうどいいかということで。
サマー タイム トラベラー 1
posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.13
サマー タイム トラベラー 2
posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.13
この小説を何についての話として読むか。素直に時間テーマのSFとして読むのも筋だろうし、タイムトラベル論として読むのも楽しい。鉄家氏が書いているように捻りのきいた都市論小説として読むのもスマートだ。
自分の場合は、こうした要素を楽しみつつも、とにかくコイツは一義的に青春小説だなぁというのが再読しての確認事項。頭から終わりまで一貫した“自己言及性”や、未来から宇宙の果てまで、全てが自分自身の延長上にあるという特権的視野。こういう“青春時代的”要素に若干辟易しながらも、ラストの美しい喪失感にはやはりグッと来てしまった。
逆に言うと、それ以外のアレコレの要素は、再読してみると(楽しいのだけど)結構余計かも。特にエピローグは、どこかのblogにもあったけど、蛇足っぽい。青春の潔さを傷つけているような気がする。
■関連リンク
★サマー/タイム/トラベラーで言及された作品リスト@まいじゃー推進委員会!
余計等と書きつつ、やはり、こういうアレコレについてウンチク部分が楽しいのであった。
★時間旅行〜タイムトラベル
TT小説のレビュー集。140冊というのが凄い。
★タイムトラベルはいかが
タイムトラベルに関わる小説、映画等についてのcomprehensiveな作品リスト。