メディヘン5

時々書く読書感想blog

森博嗣『スカイ・クロラ』 青空と飛行機の好きな人向け

スカイ・クロラ
森 博嗣著
中央公論新社 (2001.6)
ISBN : 4120031586
価格 : ?1,995
通常24時間以内に発送します。

スカイ・クロラ
森 博嗣著
中央公論新社 (2002.10)
ISBN : 4125007810
価格 : ?1,050
通常2-3日以内に発送します。

■あらすじ

 主人公・函南 優一は戦闘機パイロット。ただし、軍人ではない。あらたな基地に配属された彼は、ウィングマンの土岐野、整備士の笹倉、そして上官である草薙らと出会う。戦闘機パイロットの戦いと日常を通して、「生」と「死」の意味を問う物語。リアルなイメージの空戦描写と曖昧な印象の日常描写が繰り返される中、次第に、主人公と周囲の人物、彼らの存在する世界の謎が際立っていく。

■感想

 作者の森博嗣の他の作品を読んだことがないのだけれども、基本的にはミステリー作家に分類されている人なのだろう。この作品は、出版社によると「著者懇親の新境地」であり、「戦争を仕事にしなくては生きられない子供たちの寓話」であるとのこと。確かに、架空の世界を舞台にした戦闘機パイロットの物語ではあるし、著者は戦闘機の操縦経験があるのではないかとファンに思わせるほど、空戦シーンが上手に描かれている。ミステリーで無いのはもちろん、戦争自体を主題とする普通の仮想戦記とはまったく異なった種類の戦争(空戦?)小説になっている。
 
 僕がこれまで読んだ本の中では、世界とそこに生きるものたちの謎を中心にすえた戦場小説という意味で、神林長平の『戦闘妖精・雪風』と似たものを感じた。(あちらは超音速ジェット、こちらは過給器も無いレシプロですが)
 
 この本は、ハードカバー版・新書(ノベルズ)版・電子書籍版があるが、装丁がなかなかよいので、物理的な「本」のバージョンがお薦め。ハードカバー版の装丁は、イラストと見まごうばかりのきれいな青空の写真。ノベルズ版の装丁は、漫画家/イラストレーターの鶴田謙二のイラストを使用。僕は、ハードカバー版とノベルズ版の両方買ってしまいました。

 自分の評価としては、存在の意味を問うストーリ‐・モチーフ(空戦)・ヒロイン草薙水素のキャラ、とすべてがツボにはまってしまったため、★★★★★という評価。


■関連リンク
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