メディヘン5

時々書く読書感想blog

岩本隆雄『鵺姫真話』 一級品のタイムトラベルもの

連作<星虫>シリーズの第3作『イーシャの船』が思いのほかおもしろかったので、この第2作も読んでみました。ネット上でも評判の高い本シリーズ、さすがに近所の本屋もしっかり在庫有り。読みたい本がすぐ買えるのって幸せだなぁ。

鵺姫真話
鵺姫真話
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.29
岩本 隆雄著
朝日ソノラマ (2000.8)
ISBN : 4257769122
価格 : ?600
通常2-3日以内に発送します。

■あらすじ

戦国時代、高牧城の城主・鵺姫は、何千人もの人間を喰らったあげく、身内の裏切りによって滅ぼされる。斬首された彼女の首は復讐を誓って宙を舞い、祟りを恐れた人々により、姫森神社の祭神として祀られることとなった・・・・・・というのが奈良にほど近い高牧市に伝わる伝説。
 
姫森神社の神主の孫娘である女子高生・純は、人類の宇宙移民を目指す“プロジェクト”の中枢で活躍していたが、挫折して故郷・高牧に戻る。故郷に戻った純は、地元の中学生・ひろし、叔父叔母に育てられる早熟小学生・まさるとともに鵺姫伝説成立を巡る謎と冒険に巻き込まれることになった・・・・・・

■感想

『星虫』の続編なわけですが、前作とはまったく趣の異なる戦国時代&タイム・トラベルもの。ある意味、SFではお馴染みのタイム・トラベルというアイデアに正面から挑み、時間旅行のしかけをトリックとして上手に活かした、一級品の時間旅行テーマSFにしあがっていると思います。
 
一方、地球と人類の行く末への思いを背景としたファンタジックな要素もふんだんに含んでいるのは、『星虫』同様。このファンタジック&ロマンティックなところのおかげで、技巧に頼らない、しっかりした印象の物語になっているわけですね。

起承転結がしっかりしていて、「転」のところでは、しっかり、主人公たちの運命に気をもまされます。一転、「起」「承」で蒔かれた伏線の種が実るラスト。すっかり夢中になって読んでしまいました。

■関連リンク

- 『鵺姫真話』@うちの本棚いらっしゃい
ジュブナイル的な味わいのタイムトラベルものが好きなら文句無しにおすすめ。読むと吉。”

上に書いたように、まったくの同感。「子供たちに、いつか読ませる本」というコーナーを本棚に作っているんですが、本作ももちろん投入。