メディヘン5

時々書く読書感想blog

野尻抱介『ヴェイスの盲点』 意外性と堅実性のスペースオペラ

をー、野尻抱介ー、ということで、本屋で見つけて速攻、購入したもの。
 
この人は<ロケットガール>シリーズで知りましたが、かなりお気に入りの作家になりました。『読んでいない作品を見つけたら、即、購入』というカテゴリーに入れさせてもらっております。
 
科学的な正確性にこだわったSFのことを”ハードコアSF”略してハードSFと呼んだりします。野尻抱介はハードSF作家として紹介されることもありますが、私のイメージでは、”ハード”というより”堅実”。ストーリーの展開に無理が無いというか、展開が論理的というか...それでいて、先の予想がつかない意外性もたっぷり、というところが魅力的。
 
また、野尻抱介の作品には、妙にのんびりしたところがあります。”ををっ!田尻抱介の新作っ!!”という感じではなく、”をー、田尻抱介の新作ー”という感じなのです。

ヴェイスの盲点
野尻 抱介著
早川書房 (2003.11)
ISBN : 4150307423
価格 : ¥630
通常2-3日以内に発送します。

■あらすじ

本作品は、残念ながら、新作でなく著者のデビュー作の再刊。未来の宇宙の運送会社・ミリガン運送を巡る<クレギオン>シリーズの第1作ということです。
 
ストーリーは、中年の社長兼船長兼船主のロイドと、女性パイロット兼秘書兼経理兼整備士のマージが、機雷封鎖された惑星ヴェイスで繰り広げる活劇。機雷回避のためのナビゲーターである地元の少女メイが活躍します。

■感想

SFとして楽しいのは、惑星ヴェイスの衛星軌道を封鎖している宇宙機雷の設定。戦争で失われた技術で作られ、排除不能なこの機雷群に、ロイドとマージは「意外だけど堅実」な方法で取り組みます。

本に忠実なハッピーエンドが安心な、気軽に読めるスペースオペラです。