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時々書く読書感想blog

深見 真『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』 撃って撃って撃ちまくれ!

会社帰りに古本屋で買ったもの。おおげさに言えば一種の「奇書」というヤツかもしれない。ジャンルをSFにしたが、一般にはアクション小説に分類されるものだろう。

アフリカン・ゲーム・カートリッジズ
深見 真著
角川書店 (2002.12)
ISBN : 4048734342
価格 : ¥998
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■あらすじ

何も無い虚空より何時でも発射できる状態の銃器を生み出すことができる「銃使い」。ストーリーは、銃使いたちと彼らを社会から排除しようとする勢力の間の戦いを描いた物語。舞台は近未来の日本(というか東京)で、概ね現実と重なってはいるものの、銃使いの存在により、政治状況などには違いがある。

■感想

この作品の奇書的な部分の一つには、銃器に対するこだわりがある。銃使いという設定も「ようするに、日本を舞台にしたアクション小説に珍しい銃を沢山だしたかっただけでしょう」という感じで、とにかく多種多様な銃器が登場し、撃ちまくられる。
 
といっても、昨今の小説らしく、銃オタクの皆さんにツッこまれても耐えられる厳選されたセレクションになっている(ようだ)。タイトルも、アフリカでの大物ハンティングに使われる大口径銃を意味しているとのこと。
 
もう一つのこだわりは、「強い女」に対するもので、登場する女性陣は基本的に男性を必要としない強者ばかり。このポイントは、この種の小説に付き物のセックス・シーンにも貫かれていて、濡れ場もレズ中心。ちょっと異様だけど、なんとなく潔い印象を受けたのは確か。ちなみに主人公は高校生の男の子です。
 
物語として見ると、複数の登場人物の一人称視点が交錯する中で、主人公の存在感が薄くなり、肝心のアクションシーンのクライマックスのテンションが落ちている感じがする。

また、「撃って撃って撃ちまくる」シーンやら銃使いの特殊能力の設定からすると、『マトリックス』の影響が大きいのかもしれない。自分も、『マトリックス』には、カンフーよりガンアクション中心でやって欲しかった口なので気にならなかったが。

醒めな点もあるけれど、『Gun』にも『コンバット・マガジン』にも、とんとご無沙汰していた身としては、最近の銃器のウンチクが楽しめた。