チャールズ・シミック『コーネルの箱』
私の”泣けるSFトップ10”に入ること間違い無しの名作に、ウィリアム・ギブスン『カウント・ゼロ』がある。衝撃度なら『ニューロマンサー』だが、泣ける度なら、断然、『カウント・ゼロ』。(『モナリザ・オーバードライブ』は、自分的には一段落ちる評価)
その『カウント・ゼロ』の”泣ける度”大幅UPに貢献しているガジェットが、「コーネルの箱」。いや、作品のテーマからすると、主要モチーフと言うべきか・・・だいたい、『カウント・ゼロ』の話の1/3は、この「箱」を追っかけるストーリーなんだし。
「コーネルの箱」というのは、アメリカの芸術家、ジョゼフ・コーネルが作成した作品シリーズのこと。コーネルは、シュールレアリズムに影響を受け、コラージュ技法に基づく一連の「箱」を作成した。ギブスンの作品では、文明の象徴としての”ゴミ”と、そのコラージュが重要な役割を果たしており、『カウント・ゼロ』ではテーマに関わる重要なモチーフとして「コーネルの箱」が登場している
私自身は、これまで2回、「箱」の実物にお目にかかる機会があった。1回目は、軽井沢のセゾン現代美術館において。2回目は、Washington D.C.のNational Gallery of Artにおいて。いずれも、『カウント・ゼロ』にもモダン・アートにも興味0、超リアリストな同行者に配慮しなければならなかったため、じっくり鑑賞できなかったのだが・・・今となっては、「箱」を求め、歩きつかれた妻とベビーカーを引きずって、National Galleryを探し回ったのも良い思い出だが。
■ジョゼフ・コーネルについて
→Joseph Cornell's Page(日本語)
■「コーネルの箱」を見てみるには
→Web Museum, Paris内のCornell, Josephへ
→National Gallery of Artの収蔵品リストのJoseph Cornellの項
と、まあ、いろいろ印象深い「コーネルの箱」なのだが、Webを散策していたら、ピュリツァー賞を受賞した詩人、チャールズ・シミックなる人が出した『コーネルの箱』という本が訳出されるとの情報を発見してびっくり。どういう本なんだか、今イチ情報が見つからないのだが、版元の文藝春秋社の紹介文によると、「クリスマス、あるいは本年最後の贈り物に最適」な「チャーミングな美麗本」らしい。き、気になる・・・・ちょっと高いけど・・・。
■チャールズ シミック『コーネルの箱』
→版元:文芸春秋社の紹介