メディヘン5

時々書く読書感想blog

佐藤和歌子『間取りの手帖』 Madoristって?

気になる本はいろいろ出るけれども、買うのに必要なのは、財布の中身とその日のノリ。多くは絶対、読みたい、というものでもないので、まあいいか、と買わずにすませることになる。いつもの本屋に立ち寄るたびに、そういった買いそびれ本がチラチラ視界に入るのだけれども、新刊購入に流されて、大抵は本屋から姿を消すままに忘れてしまうものが多い。
 
いつも視界に入る本の中には、「買ってくれ、損はさせないよ」と訴えかけてくるものがある。この本はまさにそれ。一度、本屋で手に取ってから、いつも横目でチラチラ見るだけだったのに、このあいだ、何となくかわずにはいられない気分になって買ってしまった。

間取りの手帖
間取りの手帖
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.29
佐藤 和歌子著
リトル・モア (2003.4)
ISBN : 489815090X
価格 : ?998
通常2-3日以内に発送します。

■内容

内容は、マンションやアパートを中心に集めた間取り集。99件の間取りと一言コメント。おまけにユーモアたっぷりのコラム6件と対談(?)4件が付く。この99件の間取りの奇妙キテレツさ、面妖さが売り、という本。

■感想


初版は2003年4月16日。なのに、5月26日には三刷。版元がびっくりするほど売れました、という感じがいい。自分も中小出版社からの出版に関わったことがあるので、この日付を見ると、なんだか共感するものがある。リスクを考えると初版の部数は、どうしても押さえ気味になってしまう。大抵は初版で終わりだが、まれには、本屋から追加注文が殺到。思ってもみなかったヒット、ということがわかって、慌てて増刷。で、うっかりすると刷りすぎちゃう。私の地元の本屋では、12月になっても5月付けの三刷を置いたまま。これが刷りすぎなのか、適正な流通在庫状態ということになっているのかは、版元の社長さんのカンの善し悪し次第ということでしょう。

この本で取り上げている間取りは、基本的にヘンテコ系ということのようだが、中には「これ、イイんじゃない?」と思うものもあった。大きなワンルームの真ん中に島状にキッチン・バス・トイレを配置し、周りをグルグル動き回るようになっている部屋とか、四角い部屋に斜めに長い廊下をつけて玄関になっているヒシャク状の部屋とか。極めつけはごく普通の6帖7帖の1DKが、100帖のルーフバルコニー(!?)に面しているという部屋。学生時代にはごく普通の1DKのアパートに住んでいたが、こういう部屋に住んでみたかった。