アイリーン・ガン『遺す言葉、その他の短篇』
一年越しの積読本。表紙の少年がちょっと不気味。
- 作者: アイリーンガン,Eileen Gunn,幹遙子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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- ウィリアム・ギブスンの「賛辞」
- マイクル・スワンウィックの「応援歌」
- ハワード・ウォルドロップの「あとがき」
- 巽孝之×小谷真理の「解説」
- オビのメッセージは、ル・グィン、コニー・ウィリス、ブルース・スターリング他
という、超豪華応援団。おまけにネビュラ賞受賞、というんだから、これは買わないと損でしょう、というところ。
そのギブスンの「賛辞」のタイトルは「彼女こそビジネスだ」というもの。どうも、アイリーン・ガンという人、SF業界でもリアルなビジネス業界でも実務能力バリバリ・エネルギー満タンみたいなゴッド姉ちゃんタイプを想像して、ちょっと引いてしまった。
風刺ユーモアものからファンタジー、ホラーまで幅広い作品が取り揃えられた短編集。気に入ったのは、表題作「遺す言葉」と「コンピュータ・フレンドリー」、「ソックス物語」かな。
- 「遺す言葉」
- 遺品の整理に訪れた父親の部屋には、あらゆるものにメモが遺されていた……遺された父親のメモを次々辿って行く流れが見事で引き込まれた。
- 「コンピュータ・フレンドリー」
- コンピュータ操作への適合性のみを基準に選別される子供たち。7歳のエリザベスを助けたのは……風刺と物語のバランスが一番読みやすかった。
- 「ソックス物語」
- 無くしたソックスの片方は自分の魂の一部だった……ソックスではなく、左足が問題なのでは? 妙に哲学っぽいところがおかしいバカSF。
全作品、末尾に作者のコメント付き。作者のコメントがあるのは嬉しいのだけれど、作品の間に読まされるとどうも流れが乱される。本の最後にまとめてくれていた方がよかったなぁ。