メディヘン5

時々書く読書感想blog

アイリーン・ガン『遺す言葉、その他の短篇』

一年越しの積読本。表紙の少年がちょっと不気味。

遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

という、超豪華応援団。おまけにネビュラ賞受賞、というんだから、これは買わないと損でしょう、というところ。

そのギブスンの「賛辞」のタイトルは「彼女こそビジネスだ」というもの。どうも、アイリーン・ガンという人、SF業界でもリアルなビジネス業界でも実務能力バリバリ・エネルギー満タンみたいなゴッド姉ちゃんタイプを想像して、ちょっと引いてしまった。

風刺ユーモアものからファンタジー、ホラーまで幅広い作品が取り揃えられた短編集。気に入ったのは、表題作「遺す言葉」と「コンピュータ・フレンドリー」、「ソックス物語」かな。

  • 「遺す言葉」
    • 遺品の整理に訪れた父親の部屋には、あらゆるものにメモが遺されていた……遺された父親のメモを次々辿って行く流れが見事で引き込まれた。
  • 「コンピュータ・フレンドリー」
    • コンピュータ操作への適合性のみを基準に選別される子供たち。7歳のエリザベスを助けたのは……風刺と物語のバランスが一番読みやすかった。
  • 「ソックス物語」
    • 無くしたソックスの片方は自分の魂の一部だった……ソックスではなく、左足が問題なのでは? 妙に哲学っぽいところがおかしいバカSF。

全作品、末尾に作者のコメント付き。作者のコメントがあるのは嬉しいのだけれど、作品の間に読まされるとどうも流れが乱される。本の最後にまとめてくれていた方がよかったなぁ。

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