大森望&日下三蔵 (編)『虚構機関―年刊日本SF傑作選』 勝手に集計・収録作ベスト5
- 作者: 田中哲弥,大森望,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/12
- メディア: 文庫
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こういう短編集が出版されるとは思わなかっただけに、まずは喜ばしい。初版:12月26日発売ということで、SF好きには嬉しいクリスマス・プレゼント/お年玉だったのでは?
大森望氏による思い入れたっぷりな序文には、今後の展開=毎年刊行への期待を思い切り煽られる。ぜひ長く続いて欲しいものだけど、一読した限りでは、一定レベル以上の作品を揃えるのは結構大変そうだなぁ、という気も……
さて、この傑作選、編者それぞれがこだわりの品揃えを目指していることから、いろいろなタイプの作品が集められていて、目移りしてしまう。こうなると、世の人々がどういう作品を好んでいるのか知りたくなるもので、スラデック『蒸気駆動の少年』のとき同様、blog上の感想・レビューを読んで収録作の人気ランキングにトライ。
"my favorite"収録作ベスト5
集計のやり方は、googleで見つけた『虚構機関』感想掲載のblogエントリー内で「好み」「好き」「favorite」「おすすめ」などの形容で支持されているとおぼしき作品に対し、1言及1票でカウント。対象エントリー数は15件。
で、結果はというと……
- 第1位 伊藤計劃「The Indifference Engine」(言及数=10件)
- やはりこの方が1位。同時期に出た『ハーモニー』もおもしろかったしねぇ。
- 第2位 円城塔「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」(9件)
- 今回の傑作選の目玉の一つである“未発表”作品。伊藤作品とどちらが上に来るか集計するまでわからん、というか、それを知りたいというのも集計の動機。結果、僅差で2位。
- 第3位 田中哲弥「羊山羊」(7件)
- わりとお上品な雰囲気の作品が多かった中、異彩を放っていたのが本作。独特の迫力と破天荒さが魅力。
- 第4位 山本弘「七パーセントのテンムー 」(5件)
- これは私も気に入った作品。ひょっとしてそういうものなのかも……と思わされるところが楽しい。
- 第5位 林譲治「大使の孤独」(4件)
- 収録された16作品中、いちばんSFらしい作品だったかも。
あとは票が割れて、それぞれ読んだ方の好みのまま、というバラつき加減。
最大公約数的にはオーソドックスなSF小説へ支持が集まる中、とてもそうは思えない円城塔作品が第2位というのがおもしろい。
ちなみに、私自身の好みと言えば、円城塔・山本弘・北國浩二・中原昌也・萩尾望都・平谷美樹の各氏の作品あたり。「The Indifference Engine」も良かったけど、ちょっとおっかな杉だなぁ。
感想リンク集
上記の言及数の勘定は、次のblog等を拝見して行いました。勝手ながら敬称略・順不同で掲載させていただきます。
- http://www.fortunerinn.org/blog/2008/12/26/
- 院長ブログ 「年間日本SF傑作選 虚構機関」 大森望・日下三蔵編
- http://d.hatena.ne.jp/mizen/20090102/p1
- 『虚構機関』 - ほとんど積読(たまに読む)日記
- http://d.hatena.ne.jp/lockedroom/20090108#p1
- 『虚構機関』----2007年のSFは星新一と非コミュの年だった - 愛・蔵太の気になるメモ(homines id quod volunt credunt)
- 虚構機関 - 地質学的変動
- 大森望・日下三蔵:編『虚構機関 年刊日本SF傑作選』 - K K P P↑
- http://ameblo.jp/jettvanels/entry-10181630732.html
- http://kh-spica.blog.ocn.ne.jp/spica/2009/01/post_9226.html
- 虚構機関 - ata3の日記
- だーすべいだーもよるはねるのだろうか。 - あんたいとるどぽっぷ
- 大森望・日下三蔵編 虚構機関 年刊日本SF傑作選 - コンバンハチキンカレーヨ再
- 大森望・日下三蔵編『年刊日本SF傑作選 虚構機関』 @ val it: α → α = fun
- http://d.hatena.ne.jp/n2n2n/20090102