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大森望&日下三蔵 (編)『虚構機関―年刊日本SF傑作選』 勝手に集計・収録作ベスト5

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

こういう短編集が出版されるとは思わなかっただけに、まずは喜ばしい。初版:12月26日発売ということで、SF好きには嬉しいクリスマス・プレゼント/お年玉だったのでは?

大森望氏による思い入れたっぷりな序文には、今後の展開=毎年刊行への期待を思い切り煽られる。ぜひ長く続いて欲しいものだけど、一読した限りでは、一定レベル以上の作品を揃えるのは結構大変そうだなぁ、という気も……

さて、この傑作選、編者それぞれがこだわりの品揃えを目指していることから、いろいろなタイプの作品が集められていて、目移りしてしまう。こうなると、世の人々がどういう作品を好んでいるのか知りたくなるもので、スラデック『蒸気駆動の少年』のとき同様、blog上の感想・レビューを読んで収録作の人気ランキングにトライ。

"my favorite"収録作ベスト5

集計のやり方は、googleで見つけた『虚構機関』感想掲載のblogエントリー内で「好み」「好き」「favorite」「おすすめ」などの形容で支持されているとおぼしき作品に対し、1言及1票でカウント。対象エントリー数は15件。

で、結果はというと……

  • 第1位 伊藤計劃The Indifference Engine」(言及数=10件)
    • やはりこの方が1位。同時期に出た『ハーモニー』もおもしろかったしねぇ。
  • 第3位 田中哲弥「羊山羊」(7件)
    • わりとお上品な雰囲気の作品が多かった中、異彩を放っていたのが本作。独特の迫力と破天荒さが魅力。
  • 第4位 山本弘「七パーセントのテンムー 」(5件)
    • これは私も気に入った作品。ひょっとしてそういうものなのかも……と思わされるところが楽しい。
  • 第5位 林譲治「大使の孤独」(4件)
    • 収録された16作品中、いちばんSFらしい作品だったかも。

あとは票が割れて、それぞれ読んだ方の好みのまま、というバラつき加減。

最大公約数的にはオーソドックスなSF小説へ支持が集まる中、とてもそうは思えない円城塔作品が第2位というのがおもしろい。

ちなみに、私自身の好みと言えば、円城塔山本弘北國浩二中原昌也萩尾望都平谷美樹の各氏の作品あたり。「The Indifference Engine」も良かったけど、ちょっとおっかな杉だなぁ。